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JICA「アフリカ障害者の地位向上調査」に参加して
Joined in the research for “Mainstreaming and Empowerment of Persons with Disabilities in Africa”

AJFは、季刊の会報「アフリカNOW」を発行しています。AJFの活動紹介にとどまらず、アフリカに関する最新情報を伝える、日本で出会えるアフリカを紹介する内容の記事を掲載しています。

【アフリカNOW No.91(2011年発行)特集記事です】

降幡 博亮/FURIHATA Hiroaki
ふりはた ひろあき:長野県出身。スポーツ中の受傷により頚椎損傷の障害に。中央大学総合政策研究科博士課程中退。2004年から全国自立生活センター協議会、2006年より自立生活センター・ヒューマンケア協会に勤務。主に海外での自立生活運動支援を担当する。

 2010年8月、国際協力機構(JICA)による「アフリカ障害者の地位向上」調査に同行する機会を得ることができた。調査はケニア、マラウイ、南アフリカの3カ国で行われ、主にそれぞれの国の都市部(ナイロビ、リロングウェ、ジョハネスバーグ、プレトリア)での障害者、障害者団体、障害福祉関係省庁での聞き取りが中心であった。また各地で障害者の自立生活についてのセミナーやワークショップを行っている。2011年にJICAから本調査の報告書が刊行されるため、ここでは調査の詳細には入らず、障害を持つ当事者として感じることができた各地でのアクセスの状況と、障害者団体について書いてみたい。

アクセス状況

 私自身は、舗装された道路やエスカレーターやエレベータのある環境であれば(短距離限定だが)自分の足で歩けるのだが、今回は広い空港の移動や団体行動の必要もあったため、ポータブルの電動車いすを使っての調査参加となった。車いすを使って動き回れたことにより、調査が楽にできただけでなく、車いすを使ってこそわかることが見えてきた。
 まず空港のアクセス状況であるが、ここでのポイントは自分自身の車いすで飛行機の機体横までアクセスできるかどうかである。重度の障害を持つ車いす利用者の多くは、体への負担を少なくするために自分の体にあわせて車いすを作っている。そのため自分の体に合わない車いすを使うと床ずれが生じる恐れもあるため、自分自身の車いすで機体横までアクセスできることが重要である。この点については、ナイロビ、リロンゲ、ジョハネスバーグのいずれの空港でも搭乗時は自分の車いすで機体横までアクセスすることができた。リロングウェの空港は小規模なのでターミナルから機体につながる搭乗ブリッジがない。そのため車いすごと乗り込むPBL (Passenger Boarding Lift)を使っての搭乗になった。
 一方の降機時の車いすアクセスであるが、チェックイン時にカウンターでリクエストを出していたものの、いずれの空港でもなかなか自分の車いすを機体横までは持ってきてくれなかった。空港の車いすで手荷物受け取り地まで行って乗り換えろと言われるのだが、こちらも体の問題があることから交渉を続け、最終的には自分の車いすで機体横から離れることができた。この点を現地の障害者リーダーに聞いてみたが、やはり自分自身の車いすで機体までアクセスすることの重要性をなかなか理解してもらえないとのことであった。
 続いて街中でのアクセス事情だが、新しい建物の場合は比較的容易に車いすでアクセスすることができた。関係省庁の訪問時もケニアと南アフリカではスロープで中に入り、エレベータで上がることができた。マラウイの場合、省庁内に入ることはできたが、エレベータは設置されていなかった。店舗などは新しいものの場合は、車いすでのアクセスが可能となっている。リロングウェでも新しいショッピングコンプレックス(複合商業施設)にはスロープが付き、車いすでレストランに入ることができた。
 道路については、ナイロビ、リロングウェともに都市の中心部および幹線道路は舗装されているため、車道を車いすで移動することは可能であった。リロングウェの街中では手でペダルをこぐ三輪車いすを使って移動する障害者を何人か見かけている。しかしながら舗装された道でも時間帯によっては渋滞がひどく(車で10分のところ、1時間半かかった)、車いすで移動することが危険になる。また居住区や郊外となると、車のわだちが刻まれた未舗装の道が多くなる。車でもかなり跳ねるような悪路のため、一人で車いすで外出することはかなり困難であると思われた。
 ナイロビとリロングウェでは交通機関として、ワゴン型の乗り合いバスが一般的に使われていた。だが乗り合いバスは、ワゴン車を10数名程度が乗れるように改造したものであるため、車いすに座ったままでの乗車は不可能である。そのため車いす利用者が移動するためには、無理をしてワゴン車のシートまで上げてもらうか、費用のかかるタクシーを使わざるをえない。近年ガソリン価格が高騰しているために、タクシー代も高く、収入の少ない障害者には外出は大きな負担となっている。前述したように、建物など点の部分でのアクセス化が徐々に進みつつあるなかで、道路や交通機関など点と点をつなぐ線の部分のアクセスが難しい。(ガソリンの問題はあるが)車いすで乗車可能な福祉車両の支援があれば、障害者の外出範囲がかなり広がると感じられた。
 南アフリカのジョハネスバーグやプレトリアでは舗装された道路や敷地が多く、私が行った範囲内では車いすでの移動は比較的容易であった。交通機関については障害者の移動はバスやタクシーとなるが、ジョハネスバーグでは車いすでも乗車可能な路面電車もあることが確認できた。また車いすでも乗車可能なバンを所有し、移送サービスを提供している障害者団体もある。しかしながら南アフリカ全体がこのような状態にあるわけではなく、現地のJICAスタッフに聞いたところによると、旧ホームランドのある地方では未舗装の道がほとんどで、車いすでの移動には大変な困難が伴うとのことであった。

障害者団体の状況

 日本ではあまり知られていないアフリカの障害者運動の状況であるが、いずれの国でも障害者団体が活発な活動を繰り広げている。ケニア、マラウイ、南アフリカともに障害者が中心となって運営する当事者団体があり、全国的な活動を展開している。まずケニアであるが、ナイロビに拠点を置くUDPK (United Disabled Persons of Kenya)は、200の障害者団体をメンバーとする全国組織として障害者政策に影響力を有している。権利擁護活動を中心に行い、2003年のケニア障害者法(the Persons with Disabilities Act)の実施、2006年に採択された国連障害者のための権利条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)の批准、そして2010年8月4日に国民投票が行われたケニア新憲法の中に障害者に関する条文を入れるように政府に働きかけてきた。ケニア新憲法案は承認され、障害者に関する条文もChapter 4 "The Bill of Rights"の27-(4), 54-(1)-(a)?(e), (2)に明記された。
 マラウイでは障害者団体の連合体であるFEDOMA (Federation of Disability Organisations in Malawi)が力を持っている。FEDOMAは商業都市のブランタイヤに本部を置いているが、リロングウェの障害者リーダーとも密接に連絡を取り合いながら政府に政策への働きかけを行っている。またFEDOMA前議長も局長クラスとして政府内におり、政府とのパイプもある。現在、障害者の権利や公営住宅のバリアフリー化促進を盛り込んだ新障害者法案を議会に提出し、その通過を働きかけている。
 南アフリカには全国に広がりを持つ障害者団体が複数あり、その中の13の団体の連合体としてSADA (South Africa Disability Alliance)がある。この連合体は障害者全国団体間の調整を行っている。SADAの加盟団体には、政府与党であるアフリカ民族会議(ANC)と関係の深いDPSA (Disabled People South Africa)や、いずれも重度の障害者の入居者自身が運営するグループ・ホーム「セルフ・ヘルプ・センター」の全国連合体であるQASA (QuadPara Association South Africa)も入っている。DPSAは権利擁護を中心として、アパルトヘイト時代から活動を行ってきている。現在、南アフリカ政府の女性・子ども・障害者省の局長であるベニー・パリメ(Benny Palime) さんも、視覚障害の当事者としてDPSAで活動してきたとのことであった。またQASAはセルフ・ヘルプ・センターの運営以外にも、権利擁護活動や地域障害者への情報提供、介助者の育成、交通移送サービスといった活動も行っている。センターに入居している障害者リーダーと話す機会があったが、助成金の関係でグループで暮らしているが、本当のところは一人暮らしをしたいとのことなので、制度的な条件が整えば入居者はセンターから出て生活をし、センターはその地域生活を支える拠点となる可能性が高い。
 今回の調査でアクセスや障害者団体の活動を知ることができたが、団体のリーダーに聞くと、やはり交通アクセスの問題があり、重度の障害者には頻繁に集まって行動することが難しいとのことであった。建造物のアクセスが向上しつつある状況なので、交通アクセスが改善されれば、障害者の外出・交流が広がり、障害者運動もいま以上に活発になり、ひいては障害者の生活状況の改善へとつながっていくことが予想される。

アフリカNOW No.91特集記事

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